第88回全国高等学校野球選手権大会 11日目 その3

コチラは第三試合の観戦記です。先に第一試合、第二試合の観戦記をお読みいただけることをお勧めいたします。
いやはや第二試合の興奮冷めやらぬ甲子園球場。この後は、好カードと期待されている八重山商工智辯和歌山という客がまた増えそうな試合。

さてさて、どんな試合になることでしょう。

腹ごしらえをして試合観戦に備える。

第88回全国高等学校野球選手権 第十一日目 第三試合

会場 阪神甲子園球場

八重山商工高等学校(沖縄) 3−8 智辯学園和歌山高等学校(和歌山)◆

智弁 000 030 311=8 H10 E
八商工 011 010 000=3 H 7 E

(和) 松隈、竹中−橋本
(八) 大嶺、金城長靖−友利
本塁打】(和)広井:5回3ラン、広井:9回ソロ
【写真】智辯和歌山ナインがピンチに井戸端会議する姿

恐らく、球場にいてる多くの観客はこの試合が楽しみなんだと思う。甲子園常連校と沖縄宮古島の公立高校の対戦。自ずと八重山商工を応援したくなる心理はわからなくもないです。
私も今日一番楽しみにしていた試合で、八重山の大嶺君を和智弁打線がどう攻略するか興味深々でした。

【1回】
八商工の先発大嶺君。MAX149kmというストレートで和智弁三者凡退に抑える上々の立ち上がりを見せる。
逆に和智弁の先発松隈君も負けずに三者凡退に抑える立ち上がり。両者の意地のぶつかり合いになりそうな気がする。

【2回】
智弁は四球の走者をバントと暴投で一死三塁のチャンスを迎えるが、大嶺君が踏ん張りをみせて後続を断ち切られ先制点ならず。
対する八商工はセカンドの悪送球で無死二塁のチャンスを掴む。打者大嶺君はバントのそぶりも見せずに勝負して三振。しかし金城賢司君が二塁打を放ち、しっかり先制点をもぎ取る。後続は死球でつないだが、併殺打で追加点ならず。ただ、この回1点を先制した。

【3回】
智弁としては反撃ののろしを上げたいが、四球の走者をバントで送れず二塁憤死。しかし、敵失(一塁失策)で再度チャンスを得たが、八商工の大嶺君に抑えこまれる。
八商工も追加点がほしいところであるが、一死後に2本連続野手を強襲するヒットで一三塁のチャンス。そこで3番金城長靖君がボテボテのサードゴロ。その間に三塁走者が生還し1点追加。嫌らしい点の取り方である。その後、後続はなくこの回は1点追加でチェンジ。

ここまで見て八商工のナインは自分たちのしてきた野球に対する自信を感じる。
バントは極力せずにエンドランを連発し、積極的な攻撃をする。なんだかのびのびした野球をしているいいチームだなと感じる。

【4回】
智弁も大嶺君をそろそろ攻略したいところ。二死から四球で走者を出して、7番馬場君がツーベースヒットで反撃のチャンスを得るが、あと1本が出ない。
八商工は先頭打者大嶺君がセンター前にポテンヒットを打ちチャンスを掴む。
智弁ここで投手交代 松隈君はライトへ。投手は背番号1の竹中君。
ここではセオリー的にはじっくり攻めたいところだが、八商工は二盗を試みる。結果は二塁でアウト。その後2人の打者を抑え和智弁結果的に三人でこの回を抑えることに成功。なんとなく流れは和智弁に傾いたのかもと感じ始める。

【5回】
智弁は「JOCK ROCK」を使用して流れを掴みに行く。個人的には和智弁のこの曲は相当ポイントが高い。
この曲が流れているときに良く攻撃がいいリズムになっている記憶が多い。応援団的にはどんな扱いをしているんだろうか…。
というわけで、この回に和智弁は一死後に1番古宮のフェンス直撃の二塁打で反撃開始。その後、敵失も絡みチャンス到来。そこで3番広井君。フルカウントから放った打球は左中間に飛び込む3ラン本塁打で一気に逆転。さすが「JOCK ROCK」効果というかなんというか流れは和智弁に。後続は二者連続三振でこの回終了。和智弁逆転に成功。
八商工も先頭の仲里君がツーベースを打ち、その後奥平君の内野安打で無死一三塁に。
ここで、友利君がしっかり犠牲フライで同点に追いつく。しかしながらこの場面で、一塁走者が帰塁できずにアウトで2アウトとなる。
(このプレーはしっかり見てなかって目きりしていたから詳しくわからないです)
しかしこの回すぐに同点に八商工も追いつく。

【6回】
両チーム三者凡退。そろそろ大嶺君に疲れが見え始めたような気もする。

【7回】
智弁が一死一塁(ヒットの走者)から送りバントで二塁に進めて、3番広井君の辺りがボテボテの三塁ゴロ。これでは内野安打になってしまい一三塁に。ここで今日ノーヒットの4番橋本君。1-3のカウントからスリーベースヒットを放ち二者生還。勝ち越しに成功。続く亀田君も左中間へヒットを放ち3点目。和智弁が3点リードする。
反撃に転じたい八商工であるが、観客の期待に反して三者凡退。もう和智弁のペースとなる。

【8回】
智弁は攻撃の手を緩めず、疲れた大嶺君を襲う。8番竹中君の打球をレフトが飛び込みダイビングキャッチを試みるが一歩届かず後ろにそらす。その結果、三塁打となる。(ここでは飛び込まないほうがという声もあったが、これが彼らの野球なのかもしれない)
しっかり犠飛を打たれて1失点。疲れた大嶺君は1番古宮君に死球を与えた場面で投手交代。
金城長靖君が一塁からマウンドへ。大嶺君は一塁へシートの変更。その後も攻め立てたが、盗塁死でようやくチェンジ。

場内は八重山に何とか流れを呼び戻したい人達(うちなんちゅ?)が指笛を吹きながら声援を送っていた。

八商工は9番の奥平君からの打順であったが、ショートの左を破るヒットで先頭打者を出塁させるが、その後がわるい。なんと牽制でアウトになり、走者を失う。その後四球など得るが、3番金城長靖君の放った打球はセンターフライでチェンジ。

周りの沖縄系の人達が大声で叫び声援を送っている。最後まであきらめない郷土への想いを熱く感じた。

【9回】
智弁は無常にも3番広井君がソロホームランを放つ。これで8点目。点差は5点と広がり、厳しい展開に。
八商工は最後の攻撃にはしたくないが、簡単に二死を取られて万事休す。それでも周りの沖縄系の皆さんは「まだ今から逆転しましょう」と大声を出しながらかちゃーしの踊りを踊って且つ指笛で場内を盛り上げている。
最後は、ショートゴロで試合終了。

八重山商工の夏がここに終わった。
かわりに智弁和歌山は4年ぶりのベスト8進出を決めた。

【試合を終えて】
観客は満員で恐らく50000人位はいたんだと思う。それだけ注目度の高い試合だったと思う。離島の高校球児が常連の学校に戦う姿を見るために。序盤からリードしていながらも守りの姿勢を見せずに自分たちの野球をし続けている八商工ナインの姿になんだか勝つことだけを目的にしていない高校野球チームの姿のあり方を見たような気がします。もっとこのチームを長く見たかったけれども仕方がない。
智弁は投手と打者がしっかりかみ合っているようにも思えます。あとはしっかりとしたリズムを掴めばいい戦いが出来るような気がしてます。

そんなわけで、第三試合を見終えました。あまりに疲れたので、第四試合は回避しようかなと心の隙間で一瞬思いましたが、当初の予定通り観戦することにしました。というわけで第四試合を見たい方はそちらの観戦記をご覧ください。

 -以上-